「剣道の間合いと残心が人間関係でのコミュニケーションを円滑にできる」
剣道では、間合いが大切だということは剣士の皆さんは誰しも知っていると思います。
適切な間合いで相手との攻防があり、近すぎてもダメですし、遠すぎてもダメですよね。
「間合い」とは自分と相手の適切な距離感です。
一流の人は「間」を大切にします。
漫才でも「間」をとても大切にします。
「間」を合わせるという言葉があるように、相手の「間」を理解し、その「間」を時には受け止め、時には合わせる。
そのようなことが自然とできることが重要だったりします。
これは、対人関係でのコミュニケーションでも同じではないかと思うのです。
対人関係では、相手との「距離感」が重要になります。
距離感がわからないと、対人関係は難しくなり、不安や辛さが出てくると思います。
これは、「間」を読むことができなかったりすることと共通し、近すぎても、遠すぎても苦しむことになります。
一方、残心とはどういったことでしょうか?
言葉の意味から考えると、残心とは、日本の武道および芸道において用いられる言葉。残身や残芯と書くこともある。文字通り解釈すると、心が途切れないという意味。意識すること、とくに技を終えた後、力を緩めたりくつろいでいながらも注意を払っている状態を示す。
と言われています。
簡単にいえば、心が途切れないように意識することです。
剣道では、残心がしっかりしていないと1本にならないですよね。
つまりどのような状況下にあっても「常に相手に備えること」が重要であるということなのです。
では、対人関係でのコミュニケーションにおける残心ではどうでしょうか?
相手のことを意識し、しっかり聞く姿勢を持つことにも通じるのではないかと思います。
これは、職場でも、夫婦間でも同じで、相手の話を折らずにしっかり聞く「傾聴」にも通じることではないかと私は考えます。
相手に対して心が途切れないといういう意思を示す。
そうすれば相手はこちらの話も聞いてくれるようになります。
今は、対人関係のコミュニケーションが難しいと言われる時代ですが、実は剣道にはこのような対人関係を円滑にする秘訣があると私は考えます。
剣士の皆さんは普段の稽古での「間」と「残心」を、対人関係でも意識してみると、飛躍的にコミュニケーションがうまくいくのではないでしょうか。